広告出稿ツール開発 総括整理
2026-05-01 / Breedclub × BIG-T社
本資料は、提案_20260428 のBIG-T社合意を経て深めた検討論点を、ミニマムリリースまでにフォーカスして整理したもの。詳細は 要件定義.md / 開発計画.md / 参考ツール調査ログ.md を参照。
1. プロダクトコンセプト(再確認)
1.1 プロダクトの一行定義
広告主企業が、広告代理店を介さずに自社で検索広告を運用できるSaaSツール。
代理店フィー(媒体費の20%前後)をツールサブスク費に置換し、同じ広告予算で実出稿額を増やせる。
1.1.1 ビジネス構造(2026-05-01 確認)
| 製品の知財帰属 | BIG-T社(著作権・商標等) |
| 営業・販売 | BIG-T社専属(弊社直販なし) |
| 弊社の役割 | 開発・運営・サポート提供 |
| 収益構造 | レベニューシェア + 必要に応じて開発受託料 |
| 競業避止 | 弊社が他社向け類似ツール開発の権利は契約で要整理 |
→ ビジネスモデルは「レベシェア型の開発委託」構造。
1.2 解決する課題(提案資料 §1.4 を要約)
- 課題A:広告ランク決定要因のブラックボックス性 — 入札・品質スコアの内訳が広告主に見えない
- 課題B:媒体側AIレコメンドの妥当性検証ができない — 「入札を上げよ」等のレコメンドが本当に効くか事前検証できない
※ ただし課題A・Bを完全解決するのはVer3以降の長期勝負。短期はそこに賭けず、後述の市場棲み分けで勝つ。
1.3 対象媒体
- Google検索広告(Ver1〜)
- Yahoo検索広告(当面スコープ外、Ver3着手前にBIG-T社と再協議)
- ディスプレイ・動画・SNSは対象外
2. 競合分析と戦略ポジション
2.1 主要競合と機能収斂の現実
| ツール | 対応媒体 | 価格モデル | ポジション |
| Shirofune(最重要) |
Google/Yahoo/Meta/X/LINE/Amazon他10媒体 |
広告費 × 5%(セルフ) |
国内No.1、13,000件、Yahoo!広告API認定第1号 |
| Optmyzr |
Google/Microsoft/Meta/Amazon他 |
非公開・大規模向け |
海外代理店向け最大手 |
| Adalysis |
Google + Microsoft |
サブスク |
監査特化(100+チェック)、2,000+顧客 |
機能は収斂する — 各社のKPIダッシュボード・予算超過アラート・自動入札・レコメンド・レポート機能はAPIから取れるデータが共通なため似通う。機能差別化に賭けるのは筋が悪い。
2.2 認定パートナー制度の正確な実態(重要訂正)
Yahoo!広告APIの「テクノロジーパートナー認定」について、当初「Shirofuneが独占」と認識していたが、再調査の結果:
- Yahoo!広告APIには 2層構造:通常API利用(法人ビジネスIDで申請可能)と認定パートナー(追加の差別化ブランド)
- Shirofuneの「広告運用自動化カテゴリで国内外唯一」表現は2021年プレスリリース時点の自社発信ベースで、独占契約ではない
- Yahoo対応に認定パートナー化は不要。通常API申請で実装可能
2.3 戦略ポジション
機能差別化に賭けない・市場棲み分けで勝つ。
| 勝負軸 | 本ツールの方針 |
| 販売チャネル | BIG-T社の代理店ネットワーク経由(一般的なSaaSの最大の壁=集客が解決済み) |
| 顧客セグメント | shirofuneの「広告費×%」だと割高になる広告費レンジに固定価格で食い込む |
| 提供スタンス | shirofuneの「お任せ自動化」と差別化し、広告主が判断材料を理解して使う透明性で勝負 |
| サポート品質 | BIG-T社の代理店ノウハウを業種別ヒアリング・改善ガイドにツール化 |
3. ターゲット顧客像と価格モデル
3.1 ターゲット顧客像(具体化)
| 月間広告費 | 代理店フィー (媒体費20%) | 本ツール (月10万+保守) | 削減効果 | 適合度 |
| 50万円 | 10万円 | 10万+α | ほぼゼロ | × 対象外 |
| 100万円 | 20万円 | 10万+α | 5-10万 | △ 微妙 |
| 200万円 | 40万円 | 10万+α | 25-30万 | ◎ スイートスポット |
| 500万円 | 100万円 | 10万+α | 85-90万 | ◎ 圧倒的お得 |
| 1000万円 | 200万円 | 10万+α | 185-190万 | ◎ 圧倒的お得 |
中核ターゲット = 広告費月200万〜1000万円帯の中堅広告主。代理店に頼るほどではないが、自社運用するには知識が足りない層。
3.2 価格モデル
- 本体:月10万円固定(広告費連動ではない)
- 保守:月数万円(運用相談・媒体仕様変更追従の範囲)
- 「リッチさ」より「代理店フィーが減らせる」価値訴求
3.3 shirofune価格との比較
| 月間広告費 | Shirofune(×5%) | 本ツール(月10万固定) | 勝者 |
| 100万 | 5万 | 10万 | shirofune |
| 200万 | 10万 | 10万 | 互角 |
| 500万 | 25万 | 10万 | 本ツール |
| 1000万 | 50万 | 10万 | 本ツール |
4. 開発フェーズ全体像
| Ver | ゴール | 主要機能 | 顧客 |
| Ver0 |
BIG-T合意 + 営業デモ |
クリッカブルプロト(5画面・静的HTML) |
— |
| Ver1(MVP) |
自走で初期出稿〜運用監視まで完結 |
ヒアリングウィザード/API連携/ダッシュボード/警告ルール |
自社(定義A) |
| Ver2 |
「Google Ads単体では得られない示唆」を提供 |
セカンドオピニオン推定/競合キーワード可視化/品質スコア分解 |
β顧客(定義B)→ 商用(定義C) |
| Ver3 |
「代理店なしで代理店並みの運用品質」 |
広告ランク推定モデル/入札シミュレーション(Yahoo対応はBIG-T社と再協議) |
商用 |
4.1 顧客数とフェーズ
| Phase | 期間 | 顧客状態 | 顧客数 |
| Phase 0 | 2026-04〜05 | 準備中 | 0 |
| Phase 1(=ミニマムリリース) | 2026-06〜08末 | 自社ドッグフード | 0(社内) |
| Phase 2 | 2026-09〜2027-Q1 | クローズドβ(無料/半額) | 3-5 |
| Phase 3 | 2027-Q1〜Q2前半 | β拡大+商用化準備 | 5-15 |
| Phase 4-5 | 2027-Q2〜 | 本格商用 | 15-50+ |
本格的な顧客増加・収益化はPhase 3後半(2027-Q1〜)以降。Phase 1完了時点では顧客ゼロ。
5. ミニマムリリース(定義A)の中身
★ 今回採用するミニマムリリース=定義A:自社利用版
BIG-T社が準備するGoogle Adsアカウントで運用できる状態を最初のゴールとする。
- 該当Phase: Phase 0-1(2026-04-30 〜 2026-08末)
- ドッグフード対象: BIG-T社準備の Google Ads アカウント(2026-05-01 ユーザー確認)
- 必要な認可: Google Ads API Basic Access(接続用)。Standard Accessはβ提供時に取得
- 不要なもの: 弁護士による本格規約レビュー/OAuth Consent Screen審査/KMS/Row-Level Security
- 判断ポイント: 動くものを作って機能検証してから、β顧客の手応えを見て段階投資する
5.1 ミニマムリリースに含まれる機能(Ver1 MVP)
| カテゴリ | 機能ID | 機能 |
| ヒアリングウィザード |
F-11〜F-14 | 業種・商材・予算・地域・ゴール入力 |
| F-15 | キーワード自動草案生成(Claude API) |
| F-16, F-17 | 広告文自動草案生成 + レビューUI |
| Google Ads API連携 |
F-21〜F-22 | OAuth認可フロー(自社アカウントは簡易連携) |
| F-23, F-24 | キャンペーン作成API代行 + 出稿前確認UI |
| F-25 | 連携解除フロー |
| ダッシュボード |
F-31〜F-33 | KPI 3-5指標 + 期間切替 + キャンペーン別ドリルダウン |
| F-34, F-35 | 日次バッチ + 用語ガイド |
| 警告ルールエンジン |
F-41〜F-45 |
予算超過/配信停止/CPA急上昇/CV途絶/通知(メール) |
5.2 ミニマムリリースで含めないもの
- Ver2機能(セカンドオピニオン・競合可視化・品質スコア分解)
- Ver3機能(広告ランク推定。Yahoo対応はBIG-T社と再協議)
- マルチテナンシー本格実装(自社1テナントで動けば足りる)
- OAuth Consent Screen審査・KMS・本格法務・Stripe決済
6. ミニマムリリース費用
6.1 キャッシュアウト見積(4ヶ月)
| 項目 | Phase 0(4週) | Phase 1(13週) | 備考 |
| Claude Code Max(開発支援) | 既存契約 | 既存契約 | 追加発生 0円 |
| Claude API(プロダクト機能・試行錯誤) | — | 3-12万円 | キーワード生成・広告文生成の開発時試行錯誤 |
| Vercel + Supabase | 0円 | 0円 | 無料枠スタート |
| 監視(Sentry無料枠) | 0円 | 0円 | 無料枠で足りる |
| ドメイン・SSL | 1万円/年 | — | Let's Encrypt無料利用 |
| 合計 | 1万円 | 3-12万円 | 累計:4-13万円 |
6.2 自社工数(参考・案件費用対象外)
レベシェアモデルなので案件費用には計上しないが、内部コスト把握用:
| Phase | 期間 | 工数(人月) | 備考 |
| Phase 0 | 4週 | 0.5 | ヒアリング・要件・モック |
| Phase 1 | 13週 | 3.0 | スプリント6本(隔週BIG-T社デモ含む) |
| 計 | 17週 | 3.5人月 | 友春+Claude Code、他案件と並行 60-70%稼働換算 |
ポイント: 最初から100万円コミットする必要はない。4-13万円のキャッシュアウト+自社工数3.5人月でVer1自社利用版に到達できる。
7. ミニマム後の段階投資(参考)
定義A完了(2026-08末)以降は、β顧客の手応えを見て段階投資する判断とする:
| 段階 | 追加投資(キャッシュアウト) | 到達状態 | 判断タイミング |
| 定義A:自社利用版 | 4-13万円 | 自社運用で機能検証 | ★ 今回採用 |
| 定義B:クローズドβ提供版 | + 5-15万円 | BIG-T経由で2-3社β接続 | 定義A完了後(2026-09頃) |
| 定義C:オープンSaaS商用販売版 | + 80-130万円 | 不特定多数への有料販売 | β継続意向確認後(2027-Q1頃) |
詳細は 開発計画.md §4「開発費用・工数試算」、§10「損益分岐シミュレーション」を参照。
8. 直近30日のアクション(2026-04-30〜05末)
8.1 優先度A:今週中
- BIG-T社ヒアリング日程調整
- 本書セット(要件定義・開発計画・参考ツール調査・本資料)をBIG-T社にプレ共有
- レベシェア条件ドラフト着手(料率・清算サイクル・解除条件)
- 市場規模ヒアリング項目の整理(広告費200万〜1000万円・自社運用志向の感覚値)
- ドッグフード対象アカウントの提供タイミング確認(BIG-T社準備)
8.2 優先度B:今月中
開発準備
- cohnen/mcp-google-ads(MIT)フォーク・ローカル動作確認
- Ver0モック画面5本の設計着手(Claude Design活用方針確定後)
弊社サイト整備(既存事業から流用・名称変更)
- 利用規約 / プライバシーポリシー / 特商法表記の整備
- 本ツール用ドメイン方針決定(既存ドメインのサブパス or 新規取得)
- 本ツール紹介LPの最低限ページ作成
Google API申請
- Google Ads Developer Token + Basic Access 申請(Phase 0-1自社利用用)
- Standard Access 申請準備(β接続用、Phase 2前に承認獲得が目標)
- OAuth Consent Screen 申請準備(Sensitive Scope の動画・スクショ起案)
β準備・調査
- β顧客候補リストアップ依頼(BIG-T社 + 弊社既存取引先)
- 競合調査追加深掘り(ATOM、Composio、最新shirofune機能)
9. BIG-T社にフィードバックいただきたい論点
- ターゲット感覚値ヒアリング: 広告費月200万〜1000万円かつ自社運用したい広告主の実需感
- レベシェア条件: 料率(弊社受取30〜70%で1年回収顧客数9〜21社の幅)/清算サイクル/解除条件
- 製品の知財帰属: BIG-T社帰属で確認、契約書記載
- 競業避止条項の範囲: 弊社が他社向け類似ツール開発の権利の有無・範囲
- 開発受託料の有無・体系: レベシェア以外の開発対価の合意
- 年間販売目標想定: 5社/10社/20社のどの規模感か
- β顧客候補: 既存取引先からの紹介可否
- MCC(マネージャーアカウント): BIG-T社のものを使うか弊社で独自取得か
- ドッグフード用Google Adsアカウント: 提供タイミングと運用予算の目安
- 保守料の中身: 全部含む方針で価格水準は柔軟調整
※ BIG-T社の代理店業務とのカニバリゼーション論点は、本案件がBIG-T社からの提案で開始されているため対象外(2026-05-01 確認)。
10. 技術スタック確定(参考)
「メジャー・メンテ可用性重視」(2026-05-01 ユーザー方針)に基づき、2026年のSaaS標準パターンに沿って確定:
| 領域 | 採用 | 採用理由 |
| フロントエンド | Next.js (TypeScript) | 2026年もSaaS標準、最大エコシステム、path-basedマルチテナント実装容易 |
| バックエンド | Python (FastAPI) | Google Ads公式 google-ads-python ライブラリが最も成熟 |
| DB | PostgreSQL | 業界標準、Row-Level Securityでテナント分離対応 |
| 認証・DBホスティング | Supabase | Postgres + Auth + Storage が無料枠で揃う、Vercel相性◎ |
| フロントホスティング | Vercel | Next.js最適化、無料枠スタート可 |
| バックホスティング | GCP Cloud Run | Python FastAPIのサーバーレス実行 |
| シークレット管理 | Phase 0-1: .env / Phase 3〜: GCP KMS | 段階導入 |
| MCP実装ベース | cohnen/mcp-google-ads(MIT)フォーク | 「既存ツールより優れたものは作れない」(ユーザー判断) |
| ビジュアルプロト | Claude Design(Phase 0モック) | Anthropic Labs 2026-04-17リリース、Claude Maxサブスク内 |
Phase 0-1 の運用コスト: Vercel + Supabase の無料枠で月数百円〜1000円スタート。Phase 3でGCP統合。
— END —